1.事業概要

 事業者が、外部専門家(認定支援機関)の支援を受けて早期の簡潔な「経営改善計画」を策定する場合、計画策定費用(専門家への支払い費用)の3分の2(上限25万円(計画策定支援に係る費用15万円、伴走支援(決算期)に係る費用5万円、伴走支援(期中)に係る費用5万円が上限。また、経営者保証解除枠に係る金融機関交渉費用は10万円を上限として加算可能。))を国が負担する事業です。

2.事業の目的

 現状では条件変更等の金融支援を必要としないが、早期に自己の経営を改善しようとする中小企業・小規模事業者が、専門家の協力を得て「早期経営改善計画」を策定することにより、事業者の経営改善への取組を促します。

3.対象事業者

 資金繰りや採算管理など基本的内容の改善の取り組みを必要とし、専門家の支援を受けて早期の経営改善計画を策定して取引金融機関へ提出することにより、今後の自己の経営を見直す意思を有するもの。ただし、申請日の時点で既に経営改善支援センターを活用して経営改善計画を策定したことのある事業者は除かれます。

  • 個人事業主の方は対象となりますが、社会福祉法人、特定非営利活動法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、農業組合法人、農業協同組合、生活協同組合、LLP (有限責任事業組合)、学校法人は、制度対象外となります。
  • 平成27年2月より、医療法人(常時雇用従業員300人以下に限る)が支援対象業種となりました。

4.早期経営改善計画の内容

 認定支援機関は、実務指針に留意しながら事業者の早期経営改善計画策定を支援します。
 本事業における早期経営改善計画書は、経営改善計画書に比較して簡素な内容であり、具体的には、①ビジネスモデル俯瞰図、②アクションプラン、③計画損益計算書、④資金繰表(実績・計画)、⑤その他必要書類を記載し、かつ、金融機関に対する金融支援の要請を含まないものとなります。

※現状分析にあたっては、ガバナンス体制の整備面も確認する必要があります。問題がある場合は経営課題として解決策及びアクションプラン等を検討し、その実行を計画に織り込むことが推奨されます。
 また、ガバナンス体制の整備状況を確認する際は、「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」(実務指針の別添資料参照)を活用して、申請者と認定支援機関が目線を合わせながら取り組むことが推奨されます。

5.伴走支援 (モニタリング)

 中小企業・小規模事業者及び計画策定を支援した専門家は、計画策定後1年を経過した最初の決算時までの間に、実務指針の伴走支援の実務と着眼点に沿って、事業者の計画遂行状況に関する伴走支援(1年後の決算期は必須)を実施し、その内容を取引金融機関と共有するとともに中小企業活性化協議会へ報告します。

「早期経営改善支援策定事業」 よくあるご質問 (FAQ)

早期経営改善計画と経営改善計画の違いはなんですか?

 従来の経営改善計画は金融機関から返済条件を緩和してもらう等の金融支援を受けることを目的として、金融調整支援を伴う本格的な経営改善計画を作成します。早期経営改善計画では、金融支援を目的とはせず、早期から自己の経営を見直すための資金実績・計画表やビジネスモデル俯瞰図などの基本的な計画を作成し、金融機関に提出いたします。

早期経営改善計画書を作ると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

以下のようなメリットがあります。

①自己の経営見直しによる経営課題の発見や分析ができます。

②資金繰りの把握が容易になります。

③事業の将来像について金融機関に知っていただくことができます。

【支援内容】
この制度において支援の対象となる費用はどうなっているのでしょうか?

 外部部専門家による早期経営改善計画策定支援に係る費用の2/3(計画策定費用15万円、伴走支援費用(決算期)5万円、伴走支援費用(期中)5万円を上限)の支援を受けることが可能です。
 また、経営者保証解除を行う場合、金融機関交渉費用の2/3(ただし上限10万円)を加算することができます。

【支援対象事業者】
無借金経営の会社でも利用できますか?

 決済口座を持つ金融機関などからの事前相談書があれば利用できます。

【支援対象事業者】
支援を受けるための条件はあるのでしょうか?

(1) 対象事業者

 「経営改善計画策定支援事業」と同一基準です。

(2) 経営改善計画等策定の有無

 申請日現在、経営改善支援センターを活用した経営改善計画を策定・実施中または中小企業再生支援事業を活用した事業再生計画を策定・実施中の中小企業・小規模事業者の重複利用はできません。

(3) 金融機関に計画を提出したことを確認できる書類について

 本事業は、補助金執行上、中小企業・小規模事業者が金融機関に早期経営改善計画書を提出したことを確認できる書類 (受取書等 (普段の業務で使用しているもので可) )が必要です。当該計画は金融機関が計画の策定に関与するものでも、今後の融資等を約束するものでもありません。

【金融機関としての利用メリット】
金融機関としてのこの制度の利用のメリッとはなんでしょうか?

 例えば、資金実績・計画表や損益計画を未策定の事業者に対し、外部専門家が早期経営改善計画策定支援を実施することで、事業者は計画を作成できるようになり、当該事業者の経営状況をより把握しやすくなります。

【2回利用についての取扱い】
本事業を複数回利用することは可能でしょうか?

 原則として複数回利用することはできません。
 ただし、新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢又は原油価格の高騰等によって影響を受け業況が悪化した者は、過去に経営改善計画策定支援や早期経営改善計画策定支援を利用している者であっても、2022年度又は2023年度中の申請を1回に限り対象とします
 その場合の費用負担上限額 (補助金上限額) は25万円です。

【新型コロナウィルス感染症、ウクライナ情勢又は原油価格の高騰等の影響について】
Q9の新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢又は原油価格の高騰等によって影響を受けて業況が悪化した事業者とは、具体的にどういった要件ですか?

 申請者は、以下1.のいずれかの影響によって業況が悪化しており、1.で定める比較対象時期において、2.のいずれかに該当していることが要件となります。

【1.業況悪化の原因→比較対象時期】

  • 新型コロナウイルス感染症→2018年12月以降のいずれかの月を含む同期。
  • 原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響又はウクライナ情勢の変化→2021年2月以降のいずれかの月を含む同期。

【2.影響度合い】

  • 最近1ヵ月間の売上高又は過去6ヵ月 (最近1ヵ月を含む)の平均売上高が5%以上減少。
  • 最近※における売上高総利益率又は売上高営業利益率が5%以上減少。
    ※①直近の決算と比較対象時期のいずれかの期の決算との比較、②最近の試算表 (2ヵ月以上のもの)と比較対象時期のいずれかの期の同期の試算表との比較、③最近の試算表(2ヵ月以上のもの)と比較対象時期のいずれかで、5%以上減少。
  • 【利用申請書の提出方法、事業者本人の意思確認方法】
    申請の際には、中小企業活性化協議会に申請者本人が申請書を持参し、面談を受けなければなりませんか?

     申請書及び添付書類の提出方法は、協議会にご持参いただくほか、郵送や電子メール等の方法でも構いません。
     ただし、原本での提出が必要な書類(申請書など)については、電子メール等での送付はできません。
     事業者以外の者が申請書を提出した場合は、事業者に電話等で「本事業の利用」及び「費用負担」について意思確認を行います。
     また、利用申請時には申請者又は認定支援機関に対して、面談又は電話等により、協議会から実務指針の内容及び計画策定支援・伴走支援においては実務指針に沿った支援を実施する必要がある旨を説明します。案件の内容により協議会が必要と認める場合は、申請者の同意を前提に、面談にご協力頂くことがあります。

    【事前相談の内容】
    金融機関が作成する事前相談書はどのような内容のものですか?

     申請者が本事業を利用し、早期経営改善計画を策定することの相談を受けたことを示す内容であり、補助金の執行上必要とされています。

    【協議会が費用負担した金額の返還について】
    利用申請書の宣誓事項欄に示されている協議会からの支払が留意される場合や、協議会が費用負担した金額の返還等を行う場合とは、具体的にはどのようなケースが該当しますか?

     以下のようなケースが考えられます。

    • 実務指針を著しく逸脱した取組が見られる場合。
      例:以下のような場合で、かつ、協議会からの助言に真摯な対応(計画の必要な修正等)が行われない場合
        〇計画策定や伴走支援において実務指針に示される実務や着眼点に沿った支援を行われていない
        〇支払申請時の実施確認において、支援実態に沿わない形式的な確認にとどまっている
    • 計画策定後の伴走支援(モニタリング)の実施及び報告が行われない場合(伴走支援費用の支払申請の有無にかかわらず必須)。ただし、申請者の責めに帰すべき事由により伴走支援が行えない特段の事情(申請者の法的整理、認定支援機関の再三の要請にかかわらす申請者が資料提供等に応じない等)がある場合は除きます。
    • その他、宣誓事項において、適正な情報開示、費用支払いや業務内容等の確認への対応、協議会からの助言に対しては真摯に対応すること等が定められていますが、これらが行われない場合。
    • 申請書の記載に虚偽があった場合又は不正利用が判明した場合。

    【利用申請の有効期限について】
    利用申請に有効期限はありますか?

     経営改善計画策定支援の有効期限は、利用申請が受理された日から1年を経過した日です。
     期限までに早期経営改善計画策定支援事業費用支払申請書の提出がないとき、期限の到来で失効します。

    【早期経営改善計画の内容】
    早期経営改善計画とはどのようなものなのでしょうか?

     実務指針に沿い、Q14の着眼点に留意して検討されたもので、原則として、以下の内容を含むものです。

    • ビジネスモデル俯瞰図 (グループ企業がある場合は企業集団の状況を含む)
    • アクションプラン
    • 計画損益計算書
    • 資金繰表 (実績・計画)
    • その他必要とする書類

    ※現状分析にあたっては、ガバナンス体制の整備面も確認する必要があります。問題がある場合は経営課題として解決策及びアクションプラン等を検討し、その実行を計画に織り込むことが推奨されます。
     また、ガバナンス体制の整備状況を確認する際は、「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」(実務指針の別添資料参照)を活用して、申請者と認定支援機関が目線を合わせながら取り組むことが推奨されます。

    【計画策定支援に伴う具体的な業務】
    計画策定支援とは具体的にはどのような業務ですか?

     早期経営改善計画は、Q13の内容を含むとされており、これらの策定においては、実務指針の「収益力改善支援の実務と着眼点」、及び「ガバナンス体制の整備支援の実務と着眼点」に沿った支援を行うことが求められます。これらの着眼点の検討は、事業者の規模・業態等を勘案して、必要に応じて実施していただくこととしますが、本事業利用手続きにおいて、各着眼点実施の有無及び実施しなかった項目等について、その理由等を支払申請時に報告していただきます。
     計画策定を進めていく上では、経営者と認定支援機関が、対話と傾聴を基本姿勢とし、ローカルベンチマークや経営デザインシート等を活用しながら、経営者が「腹落ち」できる取組を模索していくことが望ましいと考えられます。
     また、事業者の経営課題が高度化・多様化する中(デジタル・DX、知的財産、デザイン等)で、適切な連携先を見出しづらい場合は、ワンストップ相談窓口としての「よろず支援拠点」に相談し、専門家からの助言を受けることに加えて、外部専門家等に橋渡ししてもらうことも重要といえます。

    ※ローカルベンチマーク
     (参照URL:https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/sangyokinyu/locaben/)

    ※経営デザインシート
     (参照URL:https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tikeki2/keiei_design/index.html)

    【金融機関が作成する受取書の内容】
    金融機関が作成する受取書はどのような内容のものですか?
    金融機関が普段の業務で使用している書式で差し支えありませんか?

     金融機関が中小企業・小規模事業者から計画の提出を受けたことを示す内容であり、補助金の執行上に必要とされています。
     書式は金融機関が普段の業務で使用しているもので構いません。

    【ガバナンス体制の整備支援の内容と目的】
    ガバナンス体制の整備支援は、具体的にどのような内容で、何を目的におこなうのですか?

     ガバナンス体制の整備支援は、実務指針に沿って、(ⅰ)現状把握→(ⅱ)課題明確化→(ⅲ)対応策の検討と事業者へのアドバイスのステップで支援を行うものです。
     足下の収益力改善だけでなく、事業者が、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現させ、思い切った事業展開等の前向きな投資を行うために、規律ある経営体制を整えていくことを目的としています。また、平時にあっても有事に陥ることを防止し、仮に有事に陥った場合でも金融機関との信頼関係により円滑な支援検討を可能とし、または、個人保証なしに融資を受けるためには収益力改善に加えて、経営の透明性確保等のガバナンス体制の整備が求められています。
     支援にあたっては、「中小企業の事業再生等に関するガイドライン」や「経営者保証に関するガイドライン」に示されている内容等を踏まえて、事業者と認定支援機関が目線を合わせながら取り組んでいくことが望ましいと考えられます。
     目線を合わせる補助資料として、「ガバナンス体制の整備に関するチェックシート」を活用して、達成状況の確認や協議会との意見交換を行うことも有用と考えられます。

    【支援の対象】
    ガバナンス体制の整備支援は、全ての先に対して行う必要がありますか?

     全先を対象としています。経営改善に取り組むにあたり、情報開示等による経営の透明性確保は最低限整備すべき項目であり、情報開示等の内容の適時性・適切性や正確性、法人個人の資産等の分別管理ができるような「内部管理体制」を構築することは重要な観点であるため、支援にあたっては、現状分析の一環として、ガバナンス体制の整備状況についての現状把握及び課題明確化を全先に対して行ってください。

    【支払申請時の面談実施の有無】
    支払申請時に協議会の認定支援機関に対する面談はありますか?

     支払申請時に協議会は認定経営革新等支援機関に対してね計画策定後における実務指針に沿った伴走支援の実施についての説明を面談又は電話等で行います。
     また、協議会は、支払申請時に提出された経営改善計画の内容について、実務指針に沿った支援が行われていることの確認を行い、必要に応じて、認定経営革新等支援機関や事業者に対して、実施状況等について面談や電話等でのヒアリングを求めることがあります。
     その際、経営改善に向けた計画の実効性を高める目的や認定経営革新等支援機関の育成(経験が少ない場合等)等の観点から、経営改善計画の内容や伴走支援で追加すべき着眼点等について、協議会から助言を申し入れることがあります。
     申請者及び認定経営革新等支援機関は、利用申請書の宣誓事項に基づき、協議会からの助言に対しては、真摯に対応する必要があります。

    【伴走支援費用支払申請の有効期限】
    伴走支援費用の支払申請に有効期限はありますか?

     伴走支援費用支払申請の有効期限は、伴走支援対象期間最終日(計画策定後1年を経過した最初の決算日)から6か月を経過した日です。それまで伴走支援費用支払申請書の提出ができないとき、利用申請は失効します。

    【伴走支援(モニタリング)に着手できない場合】
    経営改善計画が策定され、本事業の支払申請が完了して、支払い申請額の1/2が支払われました。しかし、その後、初回の伴走支援費用支払申請をする前に、申請者(事業者)が思いがけず破産してしまったため、伴走支援ができなくなってしまいました。この場合、支払い申請額の1/2を受領することはできませんか?

     認定経営革新等支援機関が伴走支援に着手できないときでも、申請により、その理由が合理的と判断された場合は、例外的に、支払留保された残り1/2についても支払われる場合があります。
     具体的には、申請者の法的整理、認定革新等支援機関の再三の要請にかかわらず申請者が資料提供等に応じない等、認定経営革新等支援機関の責めに帰さない事由により伴走支援が行えない特段の事情がある場合は、合理的な理由として判断されます。

    【経営者保証の解除支援:対象となる計画】
    どのような早期経営改善計画が対象ですか?

     本事業により早期経営改善計画を策定し、計画完了後に経営者保証解除を目指す計画が対象です。

    【経営者保証の解除支援:金融機関交渉の内容について】
    本事業では、経営者等の個人保証(経営者保証)の解除に関する金融機関交渉費用を支援対象としていますが、具体的にはどのような業務を行えばよいのですか?

    「経営者保証に関するガイドライン」における「既存の保証契約の適切な見直し」に関する取り組みを想定しています。

    http://www.zenginkyo.or.jp/fileadmin/res/abstract/adr/sme/guideline.pdf

    【経営者保証の解除支援:支払い対象者及び上限金額について】
    金融機関交渉費用の支払い対象者は誰ですか? また、上限金額10万円は金融機関交渉費用として少額ではありませんか?

     金融機関交渉費用の支払い対象は、申請者の依頼を受けた認定経営革新等支援機関である弁護士等です。金融機関交渉交渉費用とは、金融機関との交渉を依頼した場合の弁護士費用の他、事業者自身が金融機関交渉を実施する際のサポート業務も対象となります。弁護士以外の専門家がサポート業務を実施する場合、非弁行為とならないようにご注意ください。

    【経営者保証の解除支援:金融機関交渉費用の支払申請手続について】
    経営者等の個人保証 (経営者保証)の解除に関する金融機関交渉費用を活用した場合、支払申請はどのように手続をすればいいのでしょうか?

     伴走支援費用支払申請と同時に申請をしてください。

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